「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」では、新たに追加された「ウルトラハンド」と呼ばれる能力によってゲーム内であらゆる物をつくれるようになった。失敗を重ねながら試行錯誤していく過程も楽しめるようになっており、任天堂のクリエイターたちも多くの“失敗作”をつくってしまったと語る。

その状況を一気に打開したのが、2017年に発売された「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」である。オープンワールドの世界をつくり上げることで、10年ほど停滞していたシリーズに新たな風を吹き込んだのだ。

決まったルートしか進めないそれまでのゲームとは違い、「ブレス オブ ザ ワイルド」は放任主義を徹底した。「自分の好きなことをしなさい、ただトラブルには巻き込まれないようにね」といった具合だ。

「ブレス オブ ザ ワイルド」では、プレイヤーの冒険が一人ひとりすべて異なっていた。どうやってハイラルを冒険するのかも自由だし、ストーリーとまったく関係のないことをやったっていい。例えばゲームが発売された数日後に、こんなツイートが流れてきたのを覚えている。「うっかりクマに火を付けてしまったと思ったら、そのクマの背中に登ってしまった。いま、駆け回っているクマと一緒に森中の木に放火しているところなんだ」

「ティアーズ オブ ザ キングダム」になっても、その方針は変わっていない。前作からいくつかの要素が追加され、おなじみのハイラルを冒険するための新たな方法が用意されている。ディレクターの藤林秀麿とプロデューサーの青沼英二は、「ブレス オブ ザ ワイルド」にはさらなる可能性が秘められていると感じていたようだ。「ティアーズ オブ ザ キングダム」は、その可能性を開花させるための作品なのである。

「わたしもたくさんの失敗作をつくりました」と、青沼は言う。「特にプロペラ、あれがどっち向きに回るのかいつも忘れてしまうんですよね。プロペラをうまく並べられたと思ったら今度はバランスが崩れちゃうし……」

藤林も、「タイヤを間違った方向につけて、クルマがずっとその場で回転していたときもありました」と、自分の体験を振り返る。彼らの失敗もあり、製品版ではプロペラやタイヤがどちらの方向に回るのか、可能な限りわかりやすくなっている。

ハイラルを救うことを後回しにして、ひたすら時限爆弾をいろいろなオブジェクトにくっつけて遊んでいる自分のようなプレイヤーからすれば、本作のクラフト機能は夢がいっぱい詰まった遊び場だ。任天堂が意図した遊び方をできているかは知らないが、「ティアーズ オブ ザ キングダム」はマッドサイエンティストたちにとって天国のようなゲームと言っていい。

青沼は、自らの失敗から学ぶこともまたひとつの冒険なのだと語る。「このゲームはプレイヤーが何かに挑戦するように促しているのです。そうした要素こそが、本作を続編として意味のあるものにしていると思います」

さて、即席の大砲で実験するために、そろそろゲームに戻らなければならない。リンクは体力がなくなっても、すぐに復活してくれるのだ。

(WIRED US/Translation by Ryota Susaki)

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